ACID特性とは?初心者でもわかるデータベースの信頼性を支える4つの性質
生徒
「先生、データベースの本に『ACID特性』って書かれていたんですが、これは何のことですか?」
先生
「ACID特性(アシッドトクセイ)は、データベース(Database:データベース)が正しく、安全に処理を行うための基本的な性質のことです。4つの要素で成り立っていて、トランザクション(Transaction:トランザクション)の信頼性を保証しています。」
生徒
「4つの要素ってどんなものですか?」
先生
「それは『原子性』『一貫性』『独立性』『永続性』です。英語でそれぞれ、Atomicity(アトミシティ)、Consistency(コンシステンシー)、Isolation(アイソレーション)、Durability(デュラビリティ)と呼ばれます。」
生徒
「なるほど!英語の頭文字を取ってACIDなんですね!」
先生
「その通りです。これらをしっかり理解しておくと、データベース設計やトランザクション制御がぐっと分かりやすくなりますよ。」
1. ACID特性とは?
ACID特性(読み方はアシッドトクセイ)とは、データベースがトランザクションを安全かつ正確に実行するための4つの基本的な性質を指します。ACIDという言葉は、次の4つの英単語の頭文字からできています。
- A:Atomicity(アトミシティ)=原子性
- C:Consistency(コンシステンシー)=一貫性
- I:Isolation(アイソレーション)=独立性
- D:Durability(デュラビリティ)=永続性
トランザクションとは、ひとまとまりの処理の単位のことです。たとえば「口座からお金を引き出す」や「商品を購入する」など、途中で止まっては困る一連の操作をまとめて実行する仕組みです。ACID特性は、この処理が途中で失敗してもデータが壊れないように守るための考え方なのです。
2. 原子性(Atomicity:アトミシティ)とは
原子性とは、「すべての処理が完全に行われるか、またはまったく行われないか」のどちらかであるという性質です。途中で止まったり、一部だけ成功することはありません。すべてが1つの“まとまり”として扱われるのです。
たとえば、AさんからBさんへ1万円を振り込むとき、「Aさんの口座から1万円を引く」「Bさんの口座に1万円を足す」という2つの処理があります。もし途中でエラーが起きたら、Aさんのお金が消えたり、Bさんだけが得するような状態になってはいけません。そのため、どちらかの処理が失敗すれば、全体を取り消して最初の状態に戻す(ロールバック:Rollback)という仕組みがあります。
3. 一貫性(Consistency:コンシステンシー)とは
一貫性とは、「トランザクションの前後でデータの整合性(セイゴウセイ)が保たれていること」です。つまり、データベース内のルールが守られるということです。
例えば、「残高は0円未満になってはいけない」というルールがあるとします。トランザクションの途中でエラーが起きても、このルールを破るような結果になってはいけません。常にルール通りの状態を維持することが、一貫性の目的です。
一貫性は、データベース全体の信頼性を高めるために欠かせない性質です。設計時には、制約(Constraints:コンストレイント)やデータ型の設定を通じて、この一貫性を守ります。
4. 独立性(Isolation:アイソレーション)とは
独立性とは、「複数のトランザクションが同時に実行されても、お互いの影響を受けないようにする性質」です。別々の処理が同時に走っても、それぞれが単独で動作しているように見えることが重要です。
例えば、AさんとBさんが同時に同じ商品を購入しようとしたとき、片方の処理だけが確実に在庫を減らせるようにしなければなりません。もし同時に在庫を減らしてしまうと、在庫がマイナスになるなど不整合が起きてしまいます。
独立性を守るために、データベースではロック(Lock:ロック)という仕組みを使います。あるデータを処理している間は他の処理がそのデータに触れないようにして、整合性を保つのです。
5. 永続性(Durability:デュラビリティ)とは
永続性とは、「トランザクションが完了した後、その結果が永久に失われないこと」を保証する性質です。システムが停止したり、電源が落ちたりしても、データは消えません。
データベースはこの永続性を実現するために、トランザクションの結果をログ(Log:ログ)ファイルやストレージ(Storage:ストレージ)に書き込みます。たとえ障害が発生しても、ログから復元できるように設計されています。
つまり、永続性があることで「完了した処理は必ず残る」という信頼が生まれ、データベースの信頼性が保たれるのです。
6. ACID特性を日常にたとえると
ACID特性は、データベースの専門用語のように思えますが、日常生活にも似た考え方があります。例えばネットショッピングを想像してみましょう。
- 注文が途中で止まらない → 原子性
- 在庫や金額が正しく更新される → 一貫性
- 他の人の注文に影響されない → 独立性
- 購入完了後にデータが消えない → 永続性
このように考えると、ACID特性がどれほど重要かが分かります。どれか1つでも欠けると、システムは不安定になり、信頼できるデータベースとは言えなくなります。
7. ACID特性の重要性と歴史的背景
ACID特性の考え方は、1970年代に登場したリレーショナルデータベース(RDB:アールディービー)の設計思想の中で整理されました。当時、複数の処理を同時に扱うシステムが増えたことで、データの整合性を保つ必要が高まったのです。
この概念を提唱したのは、アメリカのコンピュータ科学者であるジム・グレイ(Jim Gray:ジム・グレイ)とされています。彼はトランザクション処理の信頼性を理論的にまとめ、ACID特性として体系化しました。
現在でも、MySQL(マイエスキューエル)やPostgreSQL(ポストグレスキューエル)など、ほとんどのデータベース管理システム(DBMS:ディービーエムエス)がこのACID特性を基本に設計されています。