ATM交換方式(セルリレー方式)とは?初心者でもわかる通信プロトコルの基礎解説
生徒
「ATM交換方式って銀行のATMのことじゃないんですか?ネットワークの話でも聞いたんですけど…」
先生
「たしかに紛らわしいですね。でも、ネットワークでのATM交換方式(エーティーエム コウカン ホウシキ)は、通信のしくみに関する用語です。銀行のATMとは関係ありませんよ。」
生徒
「どんなふうに使われていたんですか?なんで"セルリレー方式"って言うんでしょう?」
先生
「それでは、ATM交換方式のしくみや特徴をわかりやすく説明していきましょう!」
1. ATM交換方式の読み方と意味
ATM交換方式は、読み方はATM交換方式(エーティーエム コウカン ホウシキ)といいます。英語では「Asynchronous Transfer Mode(アシンクロナス トランスファー モード)」と表記されます。
ATM交換方式は、セルリレー方式(セルリレー ホウシキ)とも呼ばれ、通信ネットワークで使われる高速・高信頼な転送技術のひとつです。特徴的なのは、データを「セル(Cell)」という固定長の単位で転送する点です。
2. ATM交換方式の基本構造
ATM交換方式では、データを53バイトという一定のサイズに分けて送信します。53バイトのうち、5バイトは「ヘッダ」、残り48バイトが「ペイロード(中身のデータ)」です。
このように、固定長の「セル」に分けて送ることで、通信装置はデータを高速かつ効率的に処理することができます。
ATM交換方式は、音声・映像・データなど、さまざまな種類の情報を一括で扱えるマルチメディア通信にも向いている通信方式です。
3. セルリレー方式とパケット通信の違い
ATM交換方式のセルリレー方式は、通常のパケット通信と違って、すべてのデータが同じサイズのセルに変換されます。
例えば、IP(インターネット プロトコル)などのパケット通信では、データのサイズはバラバラですが、ATMでは一律53バイト。これにより、ハードウェアの設計がシンプルになり、高速な処理が可能になります。
4. ATM交換方式の特徴とメリット
ATM交換方式には次のような特徴があります。
- 固定長のセル(53バイト)で構成され、処理が効率的
- 音声・画像・データなど、異なるメディアを統一的に扱える
- QoS(Quality of Service:クオリティ オブ サービス)を確保しやすく、リアルタイム通信に向いている
- 仮想回線を使って通信経路を柔軟に設定できる
これらの特性から、ATM交換方式は主に企業の専用ネットワークや通信事業者のバックボーン回線で利用されていました。
5. 仮想回線とVPI・VCI
ATM交換方式では、「仮想回線(かそうかいせん)」という考え方が使われます。仮想回線とは、物理的な通信路を共有しながら、論理的に分けられた通信経路のことです。
ATMセルには、仮想回線を識別するための情報として、次の2つの番号が含まれています。
- VPI(Virtual Path Identifier:バーチャル パス アイデンティファイア):仮想パス識別子
- VCI(Virtual Channel Identifier:バーチャル チャンネル アイデンティファイア):仮想チャネル識別子
これらの情報によって、ATM交換機はセルの宛先を判別し、正しくデータを届けます。
6. ATM交換方式の活用例と歴史
ATM交換方式は、1990年代に高速通信のインフラとして注目され、多くの企業や大学、通信事業者のネットワークで採用されていました。
特に、音声や映像のようなリアルタイム性が求められる通信において、ATMはQoSを制御できる点で優れていました。
しかし、2000年代以降、IPベースの技術が進化したことにより、ATM交換方式は徐々に使われなくなってきています。
7. ATM交換方式と他の通信技術との比較
ATM交換方式は、以下のような他の通信方式と比較されます。
- フレームリレー方式:可変長のフレームでデータを送る。安価で広く使われたが、ATMより信頼性や速度は低め。
- X.25方式:信頼性が高いが、速度は遅い。初期のパケット通信方式。
- IP方式:現在主流の方式。ATMに比べて柔軟で、インターネットの基盤となっている。
ATM交換方式は、特に通信品質が求められる場面において、他方式に比べて優位性がありました。
まとめ
ATM交換方式(セルリレー方式)について学んできた内容を振り返ると、この方式がどのようにして高速通信や高品質通信を実現していたのか、その背景や仕組み、さらには通信技術として果たしてきた重要な役割がよく理解できます。ATM交換方式は、音声や映像、データといった異なる種類の情報を一つのネットワークに統合しながら、高速で効率よく伝送することを目的として生まれた通信技術です。特に、固定長のセルを使った転送方式により、通信装置の処理が単純化されることで高速化が実現し、当時のネットワーク技術の中でも非常に先進的な仕組みでした。 ATM交換方式の大きな特徴は、「セル」という固定長のデータ単位を用いる点にあります。53バイトという一定サイズでデータを区切ることで、ハードウェア側の処理が安定し、音声や動画といったリアルタイム性の高いデータでも安定した品質で通信できるメリットがありました。これにより、ATMはマルチメディア通信に強い方式として評価され、企業ネットワークや大学、通信事業者のバックボーンなどで広く採用されていました。また、セルが固定長であることで待ち時間が予測しやすく、QoS(Quality of Service)の管理が行いやすい点もATMの強みでした。 ATM通信で欠かせないのが「仮想回線」という概念です。仮想回線は物理的なケーブルを占有するのではなく、その中に論理的な通信路を複数作ることで柔軟な通信を実現する仕組みです。ATMではこの仮想回線を識別するために、VPI(Virtual Path Identifier)とVCI(Virtual Channel Identifier)という二つの番号を使用し、それぞれが通信経路の階層を表します。これにより、ATM交換機は高速に中継処理を行うことができ、大規模な通信システムでも高い性能を維持できていました。この「回線を分割して使う」発想は、現在のIPネットワークにもつながる重要な考え方であり、ネットワーク技術の発展を理解する上で欠かせない要素です。 歴史的に見ると、ATM交換方式は1990年代から2000年代初頭にかけて非常に注目され、多くの組織で採用されました。特に、高品質な音声通信や映像通信など、リアルタイム性が求められる用途においては、ATMが他方式より優れた選択肢として重宝されました。しかし、その後IP技術が急速に発展し、より柔軟で低コスト、かつ長距離通信に強い仕組みが整ったことで、ATM交換方式は徐々に役割を終えていくことになります。ただし、ATM方式が生み出した固定長セル、QoS管理、仮想回線といった概念は、現代の通信技術の根底に息づいており、その仕組みを理解することは最新ネットワークを理解する上でも大変有用です。 ATM交換方式を学ぶことで、通信技術における「データをどう効率よく、正確に運ぶか」という永続的なテーマへの理解が深まります。通信方式は時代によって主流が変わるものの、その背景にある基本的な考え方は今でもさまざまな技術に受け継がれています。ATM交換方式の特徴やメリット、さらに他の通信方式との比較を知ることで、ネットワークの進化を多角的に捉えることができ、通信の仕組みを体系的に理解する助けになるでしょう。また、ATMのような歴史的技術を知ることで、現在の高速通信を支える技術革新の流れもより鮮明に見えるようになります。
生徒
「ATM交換方式って、固定長のセルを使うのがとても特徴的なんですね。なんで固定長にしたんですか?」
先生
「固定長のセルにすることで、通信機器がデータを均一に処理できるからだよ。処理が安定して高速になるし、QoSも管理しやすくなるんだ。」
生徒
「なるほど。音声や映像のようにリアルタイム性の高い通信にはぴったりなんですね!」
先生
「その通りだよ。ATMはマルチメディア通信にも強くて、当時は画期的な方式だったんだ。仮想回線を使える点も魅力だったね。」
生徒
「VPIとVCIっていう番号で仮想回線を識別していたというのも興味深いです。今のIPネットワークにもつながる考え方ですよね。」
先生
「まさにその通り。たとえ今はATMが使われなくても、通信方式の基礎を理解する上でとても役立つ知識なんだよ。」
生徒
「ATM方式の仕組みを知ることで、ネットワーク技術の進化がよりわかりやすくなりました!」
先生
「よく理解できているね。こうした基礎を押さえておくと、今後学ぶ通信技術もスムーズに理解できるようになるよ。」